2008年1月7日月曜日

負傷

夕食の準備中、アボガドの種を取ろうとしたら、左手の親指と人差し指の間、Uの字になっている部分をかなり深く、ザックリ突き刺してしまいますた。 いえね、普段は種を取るのに使い慣れた包丁の角の部分を使うんですが、今回はその角の無いフルーツナイフで試みたんですよ。そのナイフ、フォーエバー・シャープ・ナイフといって、永久に砥がなくてもイイというシロモノで、確かに良く切れる。 でも、刃先にギザギザがあるせいで、ちょっと複雑な切り口に。

予想以上の出血に自分でも驚き、あわててダーリンJに報告。 Jはすぐに救急箱を持ってきて、応急処置をしてくれました。 いつもは笑えないオヤジジョークなんか言ってる人ですが、こんな時にはホントに頼りになる奴です。 それから毎朝、包帯やら取り替えてくれるしー。

それにしても、片手が使えないってこんなに不便なのかと実感中。 んで、思い出したのが中学三年の時に運動会の練習中に左腕を骨折した事。 

当時の運動会には、組み体操という種目がどの学校にもあったと思うのですが、当時クラスでも一番小さく軽い僕は(本当です)、いつもピラミッドの一番上とかジャンプして受け止められる役目とか、そんなんばっか。 んで、その中に、2人1組で数メートル離れて向かい合い、片方は走ってジャンプ、それを相方が頭上で両手で受け止め、Tの字になる、というかなり無茶なフォーメーションがありまして。 僕の相方は、クラスでも背が高い方。 そんな危険なフォーメーション嫌だなあー、と思いながらジャンプしたんですが。

気が付くと僕は芝生の上に寝転がっており、違和感を感じた左腕はグニャっとあさっての方向を向いてますた。 あとで聞くと、腕にある二本の骨が折れていたそうです。 その後はもう周りが右往左往で、やっと保健の先生が来て応急処置の添え木をあててくれました。 その後、担任の先生に連れられ、島にある唯一の診療所へ。 でもそこには十分な治療施設などあるはずなく、結局ちょっとグレードアップした添え木をあてるだけ。

で、その時思ったのが「やった!!もしかしたら、ヘリコプターに乗れるかも!!!」。

そうなんです、沖縄の離島などでは、緊急患者などが出た場合、近くの大きな島にある病院にヘリコプターで搬送するのです。 あこがれのヘリコプターに乗れる!! と一瞬思ったものの、待てど暮らせどその様子は無く。 そうこうしているうちに、何故かどんどん体温が下がって、それまで経験した事の無い、全身がブルブル震えるという症状がでてきました。 その時、どこでどうやって探してきたのか、担任の先生が畑で働いていた母親を診療所へ連れてきました。 その頃は丁度、製糖期という、島の一年で一番忙しいサトウキビの伐採時期でした。

医者からの説明を受けたあと、担任が僕達を家まで送ってくれました。 その時点で、「ああ、ヘリコプターは無いんだ・・・・」とガッカリ。 で、家に着いた後、うちの母親ったら、骨折している息子を放りだして、そのまま畑に戻ったんですよ、奥様! あたしは自分で、涙を流しながら、片手で押入れから布団をなんとか引き出し、床に敷き眠ったものです。

翌日、親は忙しいという理由で、当時離婚して同居していた長兄が、僕を隣の大きな島にある病院に連れて行ってくれたのですが、受付で言われたのが、「今日はお医者さんがいません。 来週にならないと診察できないですねー。」  骨折したのが木曜日、隣の島の病院にいったのが金曜日、結局、本格的な診療とギブスを与えられたのは、月曜日でした。 その4~5日間は簡易ギプスというか、添え木だけ。 でも、お医者さんの適切な処置のおかげで、少し右腕より力が弱いかなーと感じる以外、後遺症も無く今は何の不便もありません。 

な~んて書くと、なんて冷たい親なんだ、と言う人もいるかもしれませんが、当時はそれが普通。 うちの島の子供は皆、親がどのように働いて家族を養っているかわかっています。 それは、ほとんどがサトウキビ農家だから。 サトウキビを育てて収穫するというのは大変な重労働で、大の大人でも根をあげる仕事です。 僕は今ヤレと言われたら、絶対できないでしょう。 だから、ちょっと子供が怪我したくらいで、仕事を休むなんてできなかったのです。 数年前久しぶりにあった母親に、酔った勢いでその事件を母親に愚痴ったら、「ああ、あん時ねー、まさか骨折してるなんて思わなかったのよー!」 だって。 たぶん、お医者さんが何言っているのか、日本語が理解できなかったと思うのですが。 

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

すごいデス。
映画観てるみたいな気分になりました。
製糖期という言葉も初めて聞きました。
うちの母(青森県の僻地出身)56歳が小学生で高熱を出したとき、馬車で隣町の病院まで行ったという切ない話を思い出しましたよー。
そのときも、確か稲刈りの時期で大人たちが気づいてくれなかったって・・・

こういう、ある意味大河ドラマ的エピソード大好きなんで、楽しみにしてます。(失礼と思ったらごめんなさい)

Tumbleweed さんのコメント...

>abechiさん
をお! abechiさんの親の時代もそうだったのですねん。 でもおかげで、ちょっとやそとじゃ病院にかからずに済む、強い身体になれた気がします。
 
もうね、そんな話、ゴロゴロしてまっせ。 あやうく破傷風になりかけて左足切断寸前になったとか、コウコウと燃え立つ七輪の中に謝って手を入れて左手を大火傷したとか、巨大なヤシガニに指を挟まれて、どうしても離れず苦労したとか。