2010年6月17日木曜日

デートクラブ

高校を卒業した後、一年制のコンピュータの専門学校に通い、東京の会社に就職しました。
その会社で3年ほどプログラマーとして働いたのですが、自分の能力以上の事を求める会社にストレスが溜まり、あえなく挫折。
その後3ヶ月ほど、今は存在しない神奈川県の座間にあった日産の工場で契約社員として働いた後、沖縄に戻りました(この仕事、後にも先にも一番過酷で辛い仕事だった)。

契約社員で働いて満期で終わったので、すぐに失業保険は降りたのですが、なにしろその間は暇。
何もしないでブラブラしててもしょうがないと思い、アルバイトを探した。(これ、違法なのでやっちゃいけないですよ!!!)

当時、何故か僕は「もう普通の会社では働けない。これからは、夜の世界で生きるべし」と、訳のわからない妄想を抱いていた。
そこで、求人誌で探した、「クラブのウェイター募集。年齢経験不問」という言葉に飛びついた。
履歴書を持って面接に行くと、あっけなく数分で採用。
場所は、わかる人はわかる、風俗で有名な那覇の波の上地区。

仕事は、出勤してお店の中を掃除。
その後、夕方頃から出勤するお姉ちゃん達にお茶を出す。
お客が来たら、客に酒出す。
カラオケのセッティング。
それだけで、時給1000円という、今までに無い大変おいしい仕事。

働き始めて数日間、何の疑問も持たず仕事していたのですが、そのうちなんかおかしいなぁー、と思うようになった。
どうもこのお店、クラブというか、売春クラブだったみたいです!!!

システムはこう。

お店のマネージャーが那覇空港まで出向き、本土からの男だらけの団体観光客を「かわいい女の子がいるクラブですよー。3千円ポッキリでウイスキー飲み放題+カラオケ歌い放題!しかも、一人のお客さんに必ず一人の女の子がつきます!」などと誘惑。
でも実はその飲み放題のウイスキー、格安のウイスキーにカラメルのようなネットリした人工着色料を混ぜて濃い色にし、それを高級ボトルに入れ替えたシロモノ。

それに騙された団体客が店に着くやいなや、女の子達は「コレはいける!」と思った男にロックオン!
すぐさま隣に座り、くどき始めるのです。
んで、男というのは浅はかなもので、大抵のお客さんはその子とどうにかなろうと思うようです。
んが、そこで落とし穴が。

確かに、酒とカラオケ代でクラブに支払う料金は3千円ですが、その後気に入った女の子と出る際には、店側に5千円を支払わなければいけないという鬼のルールがある事を、その客は知らなかったのでした。
その事で、毎晩のように店の出入り口でもめるお客さんがいましたが、性欲には勝てないようで、ほぼ全員がすんなり支払ってました。

その後、お店を掃除した後の僕の仕事は何も無し。
ただ、女の子達が帰ってくるのを待つだけ。
ターゲットは一日一組なので、それ以上の仕事は無しなので、それまでで一番楽な仕事だった。

ちなみに、そのクラブを一歩出ると、周りはソープやラブホテルだらけ。
お客さんと一緒に出て行った女の子達が何をしてるかは容易に想像できますが、数時間後に帰ってきた女の子が、店長にさらに5千円を渡しているのを見て、「うわっ!じゃ、男はこれに一体いくら払ったんだ?」とびっくりした。
だって、クラブ代に3000円+外出料金5000円+ホテル代+SEX料+αの5000円(女の子が店に払うマージン)でしょ?

僕はちょうどこの頃GAYデビューしたてで、ゲイバーに行ってちょっと気が合う人に会えばすぐにセックスできるってのに、ノンケの男ってこんな事に金を使うなんて馬鹿だなー、と思った。

んで、僕が働いているクラブに勤めている女の子(半分はおばさんでしたけど)達は5~6人なのですが、その数以上の団体のお客さんがくるとなぜかどこからかワラワラと客の人数分の女の子がやってくる。
それが10人だろうと、20人だろうと、ピッタリと。

最初、この女の子達はどこから来るのだろうか?と不思議に思っていたのですが、どうやら彼女達は店に所属しないフリーランスで働いており、街のどこかに詰め所があり、店側に呼ばれるまで待機しており、呼ばれるとあっちの店へ行ったりこっちの店へ行ったりと、獲物を探しながらあちこちフラフラと動きまわるので、UFOと呼ばれていました。

UFOさんは、大抵40~60歳くらいの、もう、これはちょっと・・・・、と思うようなお母さんレベルな人達ばかり。
でも中には、「あんた、なんでこんな仕事してんの?」と聞きたくなるような美人もいた。
でも、さすがに年季が入っているのか、そういうお年を召したUFOさんの方が客掴みは良かった。

ある日、そのクラブで働いていた一番年上のお姉ちゃん(40歳くらいで亭主+子持ち)が、その日のお客さん達があまりにも若かったので、「今日は駄目だな」と思ってボランティアのつもりでかわいい男の子に接していたら、思いがけなくヒット。
数時間後、「なんかねー、あの子あんまりお金なかったのよねー。でも若くてかわいいから、思い切りサービスしちゃった!!!うふふっふふ!!!」と、恥じらいながら店長に5千円を渡していたのを覚えている。
もしかしてあれ、自腹だったかも。

あと一度だけ、お客さんの団体の社長らしき、赤いシャツを着たちょっとイケメンなおぢさんが女の子には眼もくれず僕にだけ話しかけて、帰り際に「これチップね」と、5000円を渡してくれた事があった。
あれは何だったんだろう?

給料も良かったし、女の子達もとても優しかったので職場は気に入っていたのだけれど、その後、お店に警察が来たり、先輩に「ちょっと君の健康保険かしてくれない?」と言われたり、色々きな臭い感じがしたので、3ヶ月ほどでばっくれた。

その経験は、しばらく僕の笑い話になっていたけど、ある日、僕の高校生の時の初恋の人と飲んでいた時、「うちの母親も、自分が小さい時父親の稼ぎだけでは子供を養えなくて、泣く泣く売春してた。という事を自分の成人式の日に話してくれた。」と打ち明けられ、女性というのは強いものだなー、と改めて思った。

そういえば、クラブの女の子達も皆「こんな事、やりたくてやってる訳じゃない」って言ってたっけ。
ほとんどが既婚者で、子供もいたし。

3 件のコメント:

ふらふら さんのコメント...

他人には決して分からない事情を抱えて人は生きてるんだよね。
(キミモイロンナケイケンシテルケドネ)

機会があったら中島みゆきの「シュガー」「やまねこ」「毒をんな」「重き荷を負いて」って曲を聴いてみて。
きっと心にくるものがあるはず。

yuki さんのコメント...

POMちゃんにも色んな過去があるんだね! 分厚いの一冊出せちゃいそうだ。

そうそう、座間の日産工場にいたの??
うちの実家は正門前から徒歩3分ダョ!
工場はもう跡形もないじょ~(涙)
昔は有名人も結構来てたのになぁ~

Tumbleweed さんのコメント...

>ふらふら
ほんとよねー、あたしもココじゃとても言えない様な経験もしてるしー。
てか、それはみんな多かれ少なかれあるんじゃないかと思うのだけれど?
キミダッテヒトノコトワイエナインジャ・・・?

お勧めの曲、手持ちのituneに全然入ってなかった。orz
「シュガー」だけはかすかに覚えているけれど、そんな内容だったけか?
僕が一番好きな歌はやっぱり「二艘の船」かな?

>Yukiちゃん
おかえりー、ってか、あのYukiちゃんだよねー?
あたしてっきり、あなたは厚木の人だと思っていたけど、座間人だったのね。
そうよ、近くの寮に住んでて、毎日テクテク歩いて出勤してたわ。
あんな過酷な労働したのは、後にも先にもこれっきり。
皆がどんどんやめて行く中、最後まで頑張ったのは僕の自慢。
あれ、今やれといわれても無理。